設計技術

河川砂防構造物

河川砂防構造物

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堤防の構造は、実際に発生した被災状況を加味した経験則によるものが多く、構造物の破壊過程を解析的に検討して設計されたものではありません。一方で、 周辺の社会環境の変化により、被害が大きくなる傾向があります。こうした中、工学的に体系化された堤防の設計法の確立が求められるようになり、「河川堤防 設計指針」(平成14年7月12日付)として、堤防設計の考え方を示した指針がまとめられました。

指針を補足するために「河川堤防モニタリング技術ガイドライン(案)」を作成しており、堤防の要注意箇所の把握、堤防強化技術の検証のためのモニタリン グ方法を定めています。今後は、指針やこれらのガイドラインに基づき、堤防強化及びモニタリングを適切に行い、質的整備技術の確立を図り、洪水に対する堤 防の安全性・信頼性を維持し、高めていくことが重要です。

河川堤防質的整備技術ガイドライン(案)

河川堤防質的整備技術ガイドライン(案)は、計画高水位以下の水位時における耐浸透機能及び耐侵食機能に関する河川堤防の所要の安全性を確保するため、「河川堤防設計指針」(平成14年7月12日付)に基づく堤防の質的整備における堤防強化工法選定の考え方などをまとめたもの。

ガイドラインによる堤防強化の流れ

堤防強化区間の設定

指針に基づく安全性照査結果及び背後地の状況等を勘案し、所要の安全性が確保されていないと判断される区間を堤防強化区間として設定する。

堤防強化工法の選定

(1)一次選定

耐浸透機能及び耐侵食機能に関し、指針に基づく安全性照査結果や過去の被災履歴及びその原因、堤防の現況等を踏まえ、所要の安全性を確保できる構造となるような堤防強化工法を一次選定する。

(2)二次選定

一次選定した堤防強化工法について、「維持管理」、「経済性」、「施工性」、「事業執行」、「堤体材料・地盤とのなじみ、構造物との関係」及び「環境・利用」の観点から適用性を評価し、適切な工法を二次選定する。

堤防強化工法の決定

堤防強化工法は、一次選定及び二次選定結果を踏まえるとともに、一連区間における構造的連続性、樋門等の構造物の設置状況等を勘案し、総合的に検討を行い決定する。

モニタリングの実施

堤防強化を実施した場合は、別途定める「河川堤防モニタリング技術ガイドライン(案)」等に基づき、堤防強化法の効果を検証するためのモニタリングを実施する。

緊急点検で明らかになった事案

「平成16年7月新潟・福島豪雨」及び「平成16年7月福井豪雨」の、河川堤防の破壊等により 甚大な被害が発生したことを受けて、全国各地で目視による河川堤防の緊急点検が行われました。その結果、以下のような事案が明らかになりました。

  • 堤防の除草が行われておらず、目視による点検が困難であった。(約4割)
  • 堤防天端が通行できないところが多く河川管理通路の確保が不十分である。(約1割)
  • 出水期前における点検を含め、定期的な点検が行われていない。(約5割)
堤防点検
河川の侵食状況
河川の侵食状況